板金加工を俗称として、加工の概念は大きく2つに分けることができます。1つが精密板金加工、もう一つが金属加工業の板金加工になります。

 1つ目の精密板金加工は、溶接組立工程があまり発生しない加工を指し、加工精度が1/100、2/100などの塑性加工による板金組立を多くの場合、意図しています。ただし、精密板金加工の中でもYAGレーザーを用いた加工品や組立品が存在しており、医療や食品業界等での利用がされています。使用される材料でいうと、鉄材も多く存在しますが、下記で紹介する板金加工と比較するとステンレス材やアルミ材、銅材なども多く存在します。また、形状のサイズもその多くが50mm×500mmサイズが多く、表面にバレル研磨やバフ研磨等を行うなど、外観等も仕様条件にはいることが多くあります。

 2つ目の金属加工業の板金加工とは、産業機械や設備によって鋼材を切断・穴あけ、曲げ加工をする金属加工のことをさします。テレビCM等や街中でご商売をされている車の板金加工とは、言葉は同じですが、使用する設備等や必要とされる技術が全く違ってきます。産業分野での板金加工は、しっかりとした板厚(薄いもので2㎜前後の板厚、厚くなると20㎜以上)の鋼板をシャーリングと呼ばれる機械で切断し、レーザー加工機やターレットパンチングプレス機、またこの2つの複合機械によって穴あけ加工、その後、ベンティング機械で曲げ加工を行うなどが板金加工の代表的な加工工程になります。鋼板を切り抜いたり、曲げるだけでは、基本的に強度を持った組立製品にはなりません。複数の板金加工品の固定や接合に、溶接やネジ留めが用いられ、産業・工業分野では、鋼板の切断・穴あけ・曲げ・溶接・締結・(塗装)までを含んだ加工が板金加工と呼ばれています。

 そして、表題の『板金加工 溶接組立』という名称は、上記2つ目の加工内容をより正確(溶接や組立も含む加工)に記載した文言となります。(産業用の板金加工を知らない方にも、加工内容がわかる表現)

板金加工 溶接組立の工程

『 産業機械 一貫加工組立.com 』を運用する長谷金属は、創業時は鋼材・鋼板等を取扱う材料商社として、今は三菱電機社製やアマダ社製のレーザー加工機、ベンディングマシン、パナソニック製やダイヘン製の溶接機、塗装ブースを持つ上記の通りの板金加工業になります。

今回はそんな長谷金属の実際の作業工程を事例に、板金加工 溶接組立の工程をご紹介いたします。

① 材料の調達とトレーサビリティの確保

材料を調達し、加工・納品する上では、調達した材料の品質保証ができているかというのは、製品が実際に使われる場面において、安全性や信頼性の観点から非常に重要な要素となります。その観点から、材料の品質を保証するミルシート(鋼材検査証明書)の確保ができることは、御客様への価値の提供を意味すると考えています。しかし、単品・小ロットの生産を取り扱うような企業にとって、ミルシートを商社から直接入手することは非常に困難なことと言えます。(その為、より高い価値の提供ができると言えるのかもしれません。)

一方で、『産業機械 一貫加工組立.com』では、近隣のメーカー商社との長年の付き合いによりミルシート(鋼材証明書)の入手が可能となっており、お客様が求める安全性・トレーサビリティの確保が可能となっています。当社では主に、5×10の板材を購入し、レーザー機や複合機を用いて、量産加工を行っていますので、材料一つひとつの安全性の確保は特に重要視しています。

ミルシート

ミルシート

② 材料の切断加工

板金加工は、切断加工(ブランク加工)を行うことから工程がスタートします。以下では、当社で行っている切断加工(ブランク加工)について、使用している加工機と共にご紹介をします。また、当社では産業機械や建設部材の取扱いが多かったことから、アングル鋼、チャンネル鋼、リップ溝形鋼(Cチャン)、溝形鋼、フラットバーなどの各種形鋼をよく用いてきました。その為、作業効率の向上を目的に、形鋼に対する加工を行うことができるユニットワーカーと呼ばれる加工機を保有しています。以下では、各々の加工事例を用いて、説明をしていきます。

②-1 板材からのブランク加工

 板金加工 溶接組立の中で最初の工程となるのが、このブランク工程(切断工程)です。一般的には、材料を商社から購入して、必要となる形状にカットします。板材の大きさは4×8(シハチ)5×10(ゴトー)など、規格が決まっており、各企業が保有する加工機に適したサイズの材料を購入します。『産業機械 一貫加工組立.com』では、5×10のレーザー加工機2台とタレットパンチプレス(複合機)を用いてブランク加工を行います。

 各加工機は用途に応じて選択を行い、めっき処理後の板材に加工する場合やタップ加工等を行う場合には複合機を使用し、それ以外の加工の場合にはレーザー加工機を使用すると言った対応を行っています。当社における板材の月間における切断量としては、100t超となっています。

レーザー加工設備①・・・板厚6mm~25mmまでの板材の加工に対応

レーザー加工機

レーザー加工機①

5×10 パレットチェンジャー

5×10 パレットチェンジャー

 

 

 

 

 

 

 

 

レーザー加工設備②・・・板厚5mm~16mmまでの板材の加工に対応

レーザー加工機②

レーザー加工機②

 

タレットパンチプレス加工機

タレットパンチプレス加工機

タレットパンチプレス加工機

 

①-2 アングル材を用いた加工

一般的にアングル材への加工を行う場合には、シャーリング等を用いて切断することが多く、アングル鋼、チャンネル鋼、リップ溝形鋼(Cチャン)、溝形鋼、フラットバーなどの各種形鋼の切断、穴あけ、切り欠きなどを行う場合には、段取り替え工程が発生するのが普通です。その為、多面加工を行う場合などには、余分な加工時間が必要となっていました。そこで、より高精度かつスピーディーに行うことができるように当社では、ユニットワーカーと呼ばれる専用機を保有し、段取り替え工程の削減や高精度化を進めています。

当社が保有するユニットワーカーで具体的にできる加工領域としては、鋼材長にして0.4m~6mまでで、大型の形鋼加工が可能です。代表的な形鋼としては以下のサイズの加工が可能です。


アングル鋼:40 × 40 × t3.0 〜 150 × 150 × t12.0
チャンネル鋼:75 × 40 × 5 × t7.0, 100 × 50 × 5 × t7.5
リップ溝形鋼(Cチャン):60 × 30 × 10× (t1.6〜2.3) 〜 150 × 75 × 25 × (t3.2〜t4.5)

ユニットワーカー

ユニットワーカー

具体的な加工事例としては、下記のような加工事例があります。

アングルブラケット

アングルブラケット

こちらは、搬送ラインで用いられるスイッチ固定用アングルブラケットです。写真を見て頂くとわかるようにアングル材に対して、穴加工が施してあり、ユニットワーカーを用いた抜き加工と、レーザー加工機による切り欠き加工を行っています。写真のブラケットは、下記に記載をする溶接組立を行った後の板金加工 溶接組立品となります。

ユニットワーカーを持たずに上記のような加工を行うと、穴加工を行う際に治具が必要となったり、段取り替えをすることで穴位置を決めたりする等、複数の工程が必要となる為、加工工数がかかってしまいます。その点、ユニットワーカーを用いることで、リードタイムを削減することができています。

② 曲げ加工(ベンダー加工)

 板金加工 溶接組立品の製作では、板材の切断加工後、曲げ加工工程が入ります。当社では、豊富な種類の金型を取り揃え、直角曲げ、鈍角曲げ、R曲げ、Z曲げなどのあらゆる曲げ加工を実現することができます。また、産業機械部品や建設資材等の長尺・大型の板金加工組み立てにも対応できるよう、4mまでの曲げ加工ができる大型のベンダー機を保有し、板厚は0.4mm~9.0mmまでの厚板の曲げ加工も可能です。これにより、フレームやブラケット、アングル、ステーなどの高強度な板金加工品の製作を行うことができます。

大型ベンダー加工機①

大型ベンダー加工機①

ベンダー 板金加工機

ベンダー 板金加工機

 

 

 

 

 

 

 

 

下記の製品は、SS400鋼板に対して、写真の底面に位置する板厚4.5mmの本体部分と、板厚6.0mmの左右のアーム部分をレーザー加工機で必要となる形状に切断し、穴加工を行った後に、4.5mmの部品をコ曲げ加工し、6.0mmの部品をL曲げ加工して部品の製作を行っています。製缶板金を行う企業では基本的な加工品であると言えます。

特注フレームブラケット

特注フレームブラケット

 

③ 溶接工程

『産業機械 一貫加工組立.com』では、多くの機械部品のユニット品製作を行っています。板金加工 溶接組立品の加工を行う際には、これまでに紹介したような切断・曲げ工程を行い、部品を製作した後に、溶接を用いて組み立てるというのが非常に一般的な加工手順となります。

先ほどの曲げ加工工程における製品事例として紹介した製品では、コ曲げ加工を行った本体の部品とL曲げ加工を行った2つの部品を溶接により組立を行っています。また、当社の溶接設備は様々な産業機械部品への溶接組立に対応できるように、スポット溶接機やTIG溶接機だけではなく、アーク溶接機、CO2/MAG溶接機、ロボット溶接機を完備し、溶接方法の幅と生産量を稼ぐ為の量を保有しており、省人化を進め、生産性を上げるために半自動機やロボット溶接機の導入も行っています。その為、量産の板金加工 溶接組立品の加工にも対応が可能となっています。下記は、ロボット溶接機による加工風景です。

ロボット溶接

ロボット溶接

 ④ 組立工程

次に、溶接組立以外の組立方法についてもご紹介をします。当社では、建築資材も多く取り扱っており、溶接ほど強度がいらず、組立を行いたいという部品を依頼される場合があります。そのような場合においては、ネジ締結という方法を用います。どのような方法かというと、ネジを使用して2個以上の部材を締結する方法です。締結の種類としては、ナット締結、小ネジ締結、セルフタップ締結などがあります。市販の締結部品の規格に合わせて設計をしていただければ、コスト面でも非常に優位性のある締結方法で、締結力を都度調整でき、克必要に応じて分解できることが溶接と比較した場合のメリットとして挙げられます。一方で、先に説明をしたように溶接組立と比較すると強度の面で劣る部分がありますが、専門技術を要する必要が無いため、リードタイムの削減が可能となります。

ねじ締結組立品

ねじ締結組立品

ねじ締結組立品①

ねじ締結組立品①

 

 

 

 

 

 

 

 

⑥ 表面処理工程

『産業機械 一貫加工組立.com』が提供している板金加工 溶接組立品の場合には主な表面処理方法としては、溶剤塗装が用いられます。その為、当社では溶接用の建屋を保有し、下記の写真のように、量産塗装に対応をしています。また、特別な表面処理・めっき処理(焼き付け・電着加工・電解めっき)が必要となる場合には、近隣の協力会社に依頼することで加工を行っており、お客様が別途発注先を探すことなく、当社での一貫対応が可能となっています。下記の写真のように、部位に応じて色を変更することも可能です。

塗装工程

塗装工程

色付けをすることも可能

色付けをすることも可能

 

 

 

 

 

 

 

 

⑤ 検査・納品

ここまで『産業機械 一貫加工組立.com』が提供している機械組立品、溶接組立品の加工~組立、塗装までの一貫生産体制について、紹介をしてきました。最後にご紹介するのが当社が保有する品質保証体制についてです。当社が使用する板材は、近隣の材料商社を使用していることからミルシートの確保が可能であり、材料の手配おける安全性の確保とトレーサビリティについて保証しています。

また、板金加工 組立品に対しては、2001年に取得した国際品質マネジメント規格であるISO9001による品質管理マネジメントシステムに基づいた保証体制があり、材料手配・調達から板金加工、機械加工、溶接、組み立て、塗装、出荷までを徹底して行っています。

長谷金属の製作している板金組立品、機械加工組立品は、輸送機器や工作機械、産業機器など、高い精度と安全性が求められる業界に多く使われています。

下記の写真は当社における納品前の製品ですが、社内に完成品の在庫を保有する建屋がある為、納品時期を調整することも可能で、外観品質が厳しい製品の取り扱いも多いことから、梱包・搬送方法に対するノウハウも保有しています。

品質検査後、キズを防ぐための梱包にも対応

品質検査後、キズを防ぐための梱包にも対応

 

 長谷金属では鋼板の2mm程度の板厚から20mmを超える厚板に対して、レーザー加工機や板金加工複合機での加工や、アングル材専門の加工機械であるユニットワーカーによるブランク加工や切断加工という、板金加工の代表的な工程を行っています。中でも、ユニットワーカーによるアングル材の加工は、業界特有の加工方法です。(レーザー加工等はほかの加工分野でもありますが、ユニットワーカーはアングル材専用)

 穴あけ加工や切断加工という、板金加工において初めの加工(ブランク加工)を経て、曲げ加工を行い、ここで平面だった鋼板が立体的な形状へと姿を変えます(アングルは材料がもともと立体形状)。その後、複数の部品を溶接組立によって、強度の高い板金加工品になります。

 板金加工 溶接組立は、鋼板やアングル材を機械設備でレーザーや金型で加工を行った後、溶接や締結によって図面通りの製品形状へと加工します。

 

 

長谷金属の板金溶接についての動画はコチラ