精密板金加工と製缶板金加工は、いずれも金属を対象とした加工方法ですが、用途や精度の要求水準、加工対象となる板厚に大きな違いがあります。ここでは両者の特徴を比較し、それぞれの役割を整理してみます。
精密板金加工とは
精密板金加工とは、主に1〜3mm程度の薄板を対象に、曲げ、打ち抜き、レーザ加工などを駆使して高精度な製品を作り上げる加工方法です。鉄、ステンレス、アルミ、真鍮など幅広い材料で使用されます。精密板金は寸法公差±0.1mm以下といった厳しい精度が要求されることも多く、製品の外観品質や機能に直結します。用途は多岐にわたり、自動車の内外装部品、半導体関連装置のカバー、医療機器の筐体、産業用ロボット部品や通信機器のシャーシなどで使用されています。
製缶板金加工とは
一方で製缶板金加工は、厚み3mm以上の比較的厚板を切断・溶接して構造物を製作する加工方法です。タンクやダクト、産業機械用の架台やフレームといった、大型で強度を求められる製品で使用されています。精密さはもちろんですが、強度・耐久性・溶接技術も重視される点が、精密板金加工との違いです。
精密板金加工と製缶板金加工:板厚や精度の比較
精密板金加工と製缶板金加工について、板厚、精度の比較を以下に示します。
精密板金加工 | 製缶板金加工 | |
板厚 | 1mm~3mm | 3mm~ |
精度 | 高い | 中~低い |
寸法公差 | ±0.1mm以下 | ±1mm程度 |
両方に対応できる会社を選ぶのがベストな理由
依頼先を検討する際、精密板金加工と製缶板金加工の両方に対応できる会社を選ぶことは重要です。精密板金加工の高度な技術力と、製缶板金加工の大型構造物に対する対応力を兼ね備えた企業は、設計段階から最適な工法を提案でき、試作から量産まで一貫した対応が可能です。結果として品質の安定化や納期短縮、コスト削減につながりやすくなります。精密板金と製缶板金は別物と捉えられがちですが、両立できる体制を持つ企業こそが幅広い産業のニーズに応えられる存在といえます。