Before (改善前)

 嵌め合いによる組立が必要となる機械加工品においては、部品同士の干渉を避けるために逃げ加工を行う場合があります。上図のようにポケット穴に逃げ(φ3)がある場合、ポケット穴の加工に使用する工具径がφ3以下の小さい物を使用しなければなりません。φ3以下の小さい径の工具での切削は工具の破損の可能性があり、慎重に加工するため加工時間が長くかかる傾向にあり、コストアップとなってしまいます。

V

After (改善後)

 ポケット穴に逃げを作るのではなく、ポケット穴の角部をR形状にし、相手部品のコーナーをC面取りすることで加工時間を短縮させることが可能になります。ポケット穴のコーナーがR形状であれば工具径の小さな工具での切削ではなく、工具径の大きな切削工具での切削が可能になります。そのため、工具径の小さな工具での切削に比べて加工時間が短く済むようになります。

POINT(要約)

 機械加工での組立品の場合、嵌め合いが求められることがあります。その際、嵌め合う形状の関係から切削工具の工具径が極端に小さくなってしまう場合があります。工具径が小さい工具での加工は、加工を慎重に行わなければならない上に、工具破損の可能性もあります。設計段階では、極端に小さすぎる工具での切削を行わなくてもよいように検討する必要があります。